兵庫県競馬クラス分け~在籍馬

園田競馬姫路競馬兵庫県競馬クラス分け

兵庫県競馬(園田競馬・姫路競馬)の3歳馬以上で行われる競走は、出走した競走種別と着順に応じたポイントを付与し、その数値でクラス分けを行う「ポイント制」と呼ばれる日本の競馬では唯一のシステムを採用しています。一方、2歳馬の競走は獲得賞金を換算して算出する番組賞金による序列分けを使用しています。

唯一のシステムとなると難解そうですが、骨格は比較的分かり易いもの。その点も見ながら兵庫県競馬在籍馬のクラス分けを見てみましょう。

なお、直近の3歳馬以上のポイント、2歳の番組賞金は専門紙のほか、そのだけいば・ひめじけいば公式ウェブサイトの「馬連名簿」で確認できます。

JRAと地方競馬の融合~兵庫県競馬のポイント制

JRAのクラス分けは基本的に「1勝すればクラスが上がる」仕組み。これに対し地方競馬の主流は、「入着でも賞金を獲得して条件を満たせばクラスが上がる」というものです。

地方競馬の賞金での評価システムは、個々の馬の序列が細かく付くことで評価の近い馬を集めたレースを生みやすいものの、JRAしか知らなかったファンからすると「勝って同クラス」が多数生じたりとJRAの常識と違うことが見られるため、「平場のレースはわかりにくい」という評価を生んでいる側面もあります。

ただ、地方競馬がJRAのような単純なクラス分けを行うと、在籍頭数の規模が違ううえに来歴の違う馬が集まっているため、力量差の違うレースが増える恐れがあります。

そこで、兵庫県競馬が編み出したのが「ポイント制」。

  • クラスを多く作らない
  • 2勝でクラスが上がるようポイントを付与(下級に例外あり)
  • クラス内での力量差を評価できるよう入着馬にもポイントを付け、評価の近い馬同士でレースを組む
  • 成績が悪い場合はクラスを下げて続戦出来るようにする

というJRAと地方競馬の仕組みを融合させたようなコンセプトで設計されています。導入されたのは2009(平成21)年度。その後2016(平成28)年5月まで何度かクラス設定や降級、ポイント付与のルールに改正が加えながら、現在に至っています。

ポイント・番組賞金の加算

ポイント制の3歳馬以上、番組賞金制の2歳とも競走に出走し5着以内に入着すると、「園田競馬・姫路競馬番組要綱」(以下「要綱」)で定められた「加算ポイント表」に基づくポイント、または番組賞金が加算される仕組みとなっています。

3歳馬以上(4歳以上・3歳単独)

「加算ポイント表」は自場成績、他場遠征成績とも「重賞」か「それ以外」かだけで非常にシンプルな作りです。

最上級のA1級に上がってもポイントは引き続き加点されます。これを利用して最上級戦には「ポイント別定」と呼ばれる上級馬は持ち点によって負担重量の加増が変わる競走があり、そのハンデ付けの指標としても用いられています。

なお、在籍クラスから1クラス上への格上挑戦が認められており、これで1着となった場合は100ポイントの加算ではなく、勝利したクラスの下限ポイントまで持ち点が引き上げられます。

加算ポイント表
競走種別 1着 2着 3着 4着 5着
重賞競走
開催地を問わずダートグレード競走
100 34 18 10 8
特別競走、普通競走
他場交流競走
(ダートグレード競走を除く)
100 24 12 8 6
(原表を一部修正)

2歳

クラス分けのない2歳馬は番組賞金での序列となっており、5着以内で得た本賞金を下記の換算に基づいて計算します。こちらも他場に比べるとかなりシンプルです。

競走種別番組賞金
JRAの競走本賞金の40%
地方競馬の競走本賞金全額

クラス分け

クラス分けは「4歳以上」(いわゆる古馬戦で7月以降の表記は「3歳以上」、以下「4歳以上」)、「3歳単独」(要綱での正式名称、レース名表示や実況放送では「単独」は付けません)で行われ、出走する前週までの保有ポイントに応じて下表の「ポイント表」のように格付けられます。

一方「2歳」に格付けはありません。

※2022年の「4歳以上」から「3歳以上」への移行は2022年7月2日

4歳以上

4歳以上は7クラス制となっています。ちなみに、兵庫県競馬の特徴として実況放送のクラス名は全て英語読みする慣例があり、「A1」は「エーワン」、「B2」は「ビーツー」、「C3」は「シースリー」という読みがされています。

ポイント表
クラス ポイント
A1 760~
A2 630~759
B1 500~629
B2 350~499
C1 230~349
C2 100~229
C3  0~ 99

3歳単独

3歳馬戦のクラスは4クラス。こちらも「C1」は「シーワン」、「C2」は「シーツー」と呼ばれます。

ポイント表
クラス ポイント
A 330~
B 230~329
C1 130~229
C2  0~129

昇級

3歳馬以上は加算後の合計ポイントが上のクラスの下限を超えると昇級となります。昇級後のポイントは昇級した競走によって取り扱いが変わります。

  • 普通競走・特別競走の成績で昇級
    加算の結果、昇級クラスの下限ポイントを超えている場合は下限のポイントに留め、余ったポイントは切り捨てる
  • 重賞競走(他場含む)の成績で昇級
    加算したポイントをそのまま保持する 

格付修正(降級等)

2か月に1度(要綱には明示がなく、そのだけいば・ひめじけいば公式ウェブサイト「レースランク表」(以下「レースランク表」)には1月、3月、5月、7月、9月、11月と例示されていますが、タイミングは都度異なります)、「格付修正」と呼ばれるクラス分けの組み直しが行われます。これは開催が進むにつれて上位に馬が寄っていき、歪になったクラス間の頭数比率を当初の比率に元に戻すために行われます。クラスの無い2歳にこの仕組みはありません。

要綱や公式ウェブサイトに掲載されているのは「降級」と「ポイント修正」の2つの処理。この際に降級も発生します。ただ要綱には、

格付修正時にポイントに関係なく同一クラスで近3走の着順合計の多い順に降級する。
降級馬のポイントは前クラスの最下限ポイントから60ポイント減じたポイントとする。なお、C3(3歳はC2)への降級ポイントについては60ポイントとする。
また、A1及びC3クラスの馬は対象外とする。
その他、詳細については別に定める。

(要綱原文)

とだけあり、「レースランク表」で若干の補足はされているものの、「詳細は別に定める」に包まれた部分が多い仕様となっています。

降級

成績不振馬を1クラス下げる仕組みです。格付修正の時点で判定され、直近3戦が同一クラスを走り、その着順を足し算した数値がクラス内で大きかった馬の順にクラスを1級下げるというものです。

ただ、何頭下がるのかが別に定められているのかは不明。他馬との兼ね合いも絡むため、ずっと最下位といった馬でもない限り降級するのかどうかを見定めるのは困難です。

対象馬に付与される降級後のポイントは下記の通りとなっており、1勝すれば元のクラスに復帰できる位置に入ることとなります。

4歳以上
降級前 降級後 降級後
開始ポイント
A1 (このルールでは降級しない)
A2 B1(500-629) 570
B1 B2(350-499) 440
B2 C1(230-349) 290
C1 C2(100-229) 170
C2 C3(0-99) 60
C3 (最下級)
3歳単独
降級前 降級後 降級後
開始ポイント
A B (230-329) 270
B C1(130-229) 170
C1 C2(0-129) 90
C2 (最下級)

※3歳単独のC2降級は格付修正直後の馬連名簿を見ると、要綱と異なり降級後は90ポイントとなっているようです。

ポイント修正

ポイント修正は上項の降級馬以外の馬に対してもクラス頭数の比率調整に伴い、持ち点やクラスが変更される仕組みと思われます。

公表されているルールの範囲内で計算すると、一部のクラスでは存在し得ない奇数ポイントの馬が各クラスにいるため、別の処理が施されていると思われますが、ルールは公表されていません。

また、「降級」の対象外となっているA1クラス馬も格付修正時にA2へ降級しているケースがあるため、こちらは必然的にポイント修正で下がっているという解釈になるかと考えられます。

2歳から3歳単独への移行、3歳単独から3歳以上への編入

兵庫県競馬では馬齢戦開催中に好成績馬を古馬戦へ編入する仕組みはありません。

2歳馬の番組賞金編成から3歳単独のポイント制への移行は例年1月の正月開催が終わった後、また同じポイント制でもクラス分けの体系が異なる3歳単独馬の古馬戦の3歳以上への編入は例年6月の開催が終わった後に行われますが、こちらもルールの公表はなく、次の枠組みでどこに行くのかは事前には分かりません。

※2022年
 「2歳」の「3歳単独」への移行は2022年1月5日
 「3歳単独」の「3歳以上」への編入は2022年7月2日

長期休養馬の降級

長期休養馬も休養明け初戦でクラスが降級しているケースがよく見られますが、こちらも公表されている仕組みはなく、どうしたらどれくらい下がるのか類推できる手掛かりは見当たりませんでした。

参考:「レースランク表」(原文→こちら)
   「園田競馬・姫路競馬番組要綱」(原文→こちら)
(そのだけいば・ひめじけいば公式ウェブサイトより)

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