地方競馬のオリジナル重賞格付け(2022年度)

地方競馬まとめレース編成

競馬の重賞には体系や重要性を位置づけるべく格付がされており、特に中央競馬のGI競走となると全国から注目が集まります。

地方競馬においても重賞の格付けがありますが、「日本グレード格付け管理委員会」が承認する中央競馬との指定交流重賞(ダートグレード競走)の格付(GI、JpnI~JpnIII)とは別建てで、一部の各地区・競馬場単位では独自の重賞格付けが設けられています。

帯広ばんえい競馬

ばんえい競馬の重賞格付けは2003年度に設定された「ばんえいグレード」。格付け表記は「Banei Grade」の頭文字「BG」を使い、「BG1(ビージーワン)」「BG2(ビージーツー)」「BG3(ビージースリー)」の3段階に分かれています。

BG1

ばんえいオークス、ばんえいダービー、帯広記念、天馬賞、ヒロインズカップ、イレネー記念、ばんえい記念

BG2

ばんえい十勝オッズパーク杯、旭川記念、ばんえいグランプリ、岩見沢記念、銀河賞、北見記念、ばんえい菊花賞、ヤングチャンピオンシップ、翔雲賞、黒ユリ賞、チャンピオンカップ

BG3

カーネーションカップ、北斗賞、柏林賞、ばんえい大賞典、はまなす賞、ナナカマド賞、クインカップ、ドリームエイジカップ、ポプラ賞

参考:DATA BASE「重賞競走」→こちら

(ばんえい十勝公式ウェブサイトより)

ホッカイドウ競馬

ホッカイドウ競馬の重賞格付けは2002年度に開始。「Hokkaido」の頭文字?「H」を使った「H1(エイチワン)」「H2(エイチツー)」「H3(エイチスリー)」の3段階です。

H1

北海優駿(ダービー)、ブリーダーズゴールドジュニアカップ、サンライズカップ、道営スプリント、道営記念

H2

コスモバルク記念、北斗盃、ヒダカソウカップ、赤レンガ記念、栄冠賞、グランシャリオ門別スプリント、ノースクイーンカップ、星雲賞、王冠賞、サッポロクラシックカップ、旭岳賞、ウポポイオータムスプリント、ブロッサムカップ、瑞穂賞

H3

エトワール賞、フルールカップ、フローラルカップ、イノセントカップ、リリーカップ

参考:「重賞競走体系」→こちら

(ホッカイドウ競馬公式ウェブサイトより)

岩手競馬

岩手競馬は2016年度に「岩手競馬グレード格付基準」を定め、「岩手競馬グレード制」を導入。開催2場の「Morioka」「Mizusawa」共通の頭文字「M」を冠した「M1(エムワン)」「M2(エムツー)」「M3(エムスリー)」の3段階です。

盛岡競馬場
M1

ひまわり賞(オークス)、ビューチフルドリーマーカップ、不来方賞、OROオータムティアラ、ダービーグランプリ、南部駒賞、ジュニアグランプリ、岩手県知事杯OROカップ、プリンセスカップ

M2

岩鷲賞、オパールカップ、ハヤテスプリント、せきれい賞、やまびこ賞、青藍賞、若駒賞、絆カップ、OROターフスプリント、北上川大賞典

M3

ウイナーカップ、若鮎賞、ビギナーズカップ、知床賞、いしがきマイラーズ、サファイア賞、ヴィーナススプリント

水沢競馬場
M1

ダイヤモンドカップ、シアンモア記念、留守杯日高賞、東北優駿(岩手ダービー)、一條記念みちのく大賞典、桐花賞

M2

スプリングカップ、あやめ賞、早池峰スーパースプリント、トウケイニセイ記念、金杯

M3

赤松杯、栗駒賞、あすなろ賞、イーハトーブマイル、寒菊賞

参考:「岩手競馬グレード制の導入について」(2016.2.23)→こちら
  ※格付けの基準の1つである「1着賞金基準額」は後年修正されています
   「2016シーズン岩手競馬4つのポイント」(2016.3.8)→こちら
   「岩手競馬2022シーズン重賞・特別日程」→こちら

(いずれも岩手競馬公式ウェブサイトより)

南関東地区

南関東地区4場(浦和、船橋、大井、川崎)は「南関東地区重賞競走の格付」として共通した重賞格付けを採用しています。導入当初は「G1(ジーワン)」、「G2(ジーツー)」、「G3(ジースリー)」と中央競馬と同じ読み方で数字をアラビア数字にしたものを使用。この時はダートグレード競走の格付け(統一グレード)が付いていても南関東としての格付けを併記しており、数字が異なる事例がありました。

1998年の川崎「第49回全日本3歳優駿」(現「全日本2歳優駿」)
→統一グレード「GII」 南関東グレード「G1」

2007年度からは「Stage」(ステージ、(活動の)舞台、(進歩の)段階)、「South」(南方(南関東の"南"))、「Special」(特別な)等の意味あいを込めた「S」を頭にローマ数字を付けた「SI(エスワン)」「SII(エスツー)」「SIII(エススリー)」の3段階となり、同時にダートグレード競走には南関東地区重賞競走としての格付けは付さなくなっています。

浦和競馬場
SI

ゴールドカップ、桜花賞

SII

ユングフラウ賞

SIII

しらさぎ賞、プラチナカップ、埼玉新聞栄冠賞、ニューイヤーカップ

船橋競馬場
SI

習志野きらっとスプリント

SII

東京湾カップ

SIII

若潮スプリント、平和賞、船橋記念、報知グランプリカップ

大井競馬場
SI

東京プリンセス賞、羽田盃、大井記念、東京ダービー、東京記念、ハイセイコー記念、東京2歳優駿牝馬

SII

優駿スプリント、マイルグランプリ、黒潮盃、勝島王冠、金盃、京浜盃

SIII

ブリリアントカップ、アフター5スター賞、ゴールドジュニア、サンタアニタトロフィー、東京シンデレラマイル、雲取賞、フジノウェーブ記念

川崎競馬場
SI

戸塚記念、ロジータ記念

SII

鎌倉記念、ローレル賞

SIII

クラウンカップ、川崎マイラーズ、川崎スパーキングスプリント、スパーキングサマーカップ、報知オールスターカップ

参考:南関東重賞競走の格付け表記の変更について(2007.3.30)→こちら
(地方競馬情報サイトより)
   南関東重賞競走→こちら
(南関東4競馬場公式サイトより)

東海地区

東海地区2場(笠松・名古屋)は1996年度から地区重賞への格付けを開始。「Super Prestige(スーパー・プレステージ)」を略した「SP」を冠する「SPI(エスピーワン)」「SPII(エスピーツー)」「SPIII(エスピースリー)」の3段階を設けています。

また、準重賞にはSを抜いた「P」だけの格付けが付され、「プレステージ」と呼ばれます(以前の準重賞は笠松だけの開催で、うち古馬オープン準重賞には「P」が付いたり付かなかったりしたのですが、2021年9月以降は当該競走が全て特別競走になったため、現在は全ての準重賞に「P」格付けが付いています)。

笠松競馬場
SPI

オグリキャップ記念、ぎふ清流カップ、くろゆり賞、岐阜金賞、ラブミーチャン記念、笠松グランプリ、ライデンリーダー記念、東海ゴールドカップ

SPII

新緑賞、サマーカップ、オータムカップ

SPIII

飛山濃水杯、クイーンカップ、白銀争覇、ゴールドジュニア、ウインター争覇、マーチカップ

秋風ジュニア、ジュニアクラウン、ジュニアキング

参考:開催・重賞日程(令和4年度)→こちら※掲載終了

(笠松けいば公式ウェブサイトより)
名古屋競馬場
SPI

東海桜花賞、東海クイーンカップ、駿蹄賞、東海ダービー、秋桜賞、ベイスプリント、秋の鞍、ゴールド争覇、東海菊花賞、ゴールドウィング賞、名古屋記念、新春ペガサスカップ、梅見月杯、スプリングカップ、若草賞土古記念

SPII

湾岸スターカップ、トリトン争覇、名港盃、中京ぺガスターカップ

あすなろ杯、けやき盃、若駒盃、弥富記念、若獅子盃、新春盃、尾張名古屋杯、梅桜賞

参考:令和4年度(2022年度)名古屋競馬重賞競走日程→こちら

(金シャチけいばNAGOYA公式ウェブサイトより)

兵庫県競馬

兵庫県競馬(園田・姫路)の重賞は、中継放送や一般的な告知に格付的なものは付いていないのですが、ネット上を含めた一部の出馬表や番組要綱には「重賞I」「重賞II」という格付けが付されています。地方競馬情報サイトのデータベースでは2008年度の重賞から付されていることが確認できますが、この年度からなのかは不明です。

園田競馬場
重賞I

菊水賞、兵庫大賞典、のじぎく賞、六甲盃、兵庫ダービー、兵庫サマークイーン賞、摂津盃、西日本ダービー、姫山菊花賞、兵庫若駒賞、兵庫ゴールドカップ、楠賞、園田金盃、園田ジュニアカップ、新春賞

重賞II

園田FCスプリント、園田オータムトロフィー、園田プリンセスカップ、園田チャレンジカップ、兵庫クイーンカップ

姫路競馬場
重賞I

白鷺賞、兵庫ウインターカップ

重賞II

兵庫クイーンセレクション、兵庫ユースカップ

参考:園田競馬・姫路競馬番組要綱→こちら

(そのだけいば ひめじけいば公式ウェブサイトより)

かつて存在したオリジナル格付け

廃止となった足利、宇都宮、高崎の北関東3競馬場で構成された北関東地区と佐賀と廃止された荒尾、中津の3競馬場による九州地区にもオリジナル格付けが存在していました。また佐賀競馬にはその枠組みとは違う形でオリジナル格付けを設定した時期がありました。

北関東地区

2001年度から北関東地区の足利、宇都宮、高崎の3競馬場が「北関東Hot競馬」の愛称で相互連携することとなり、場外発売体制の連携や人馬交流、番組編成の統一化が図られた際、この3場の重賞競走に「北関東グレード」と称した格付けが付され、「北関東G1」「北関東G2」「北関東G3」の3区分が設定されました。

しかし、2003年3月3日に足利競馬場、2004年12月31日に高崎競馬場、そして2005年3月14日に宇都宮競馬場が開催を終了したことで地方競馬の北関東地区のそのものが消滅、同時に北関東グレードも消えることとなりました。

なお、当時の記録を確認するとダートグレード競走の場合でも北関東グレードはセットで付されていた模様(例:統一グレードGIIIで北関東G1)。また宇都宮1場だけとなった段階でも格付けは付されていました。

九州地区

1999年度より佐賀、荒尾、中津の九州地区3競馬場のサラ系交流重賞に「九州グレード」と称した重賞格付けを導入。「Kyushu Grade」の頭文字2文字を付した「KG1」「KG2」「KG3」の3区分。なお、佐賀でのみ行われていたダートグレード競走にも九州グレードは併記されていました。

2001年3月22日に中津競馬場の開催が打ち切られたことで、九州グレードは2場で継続。2008年度からは格付けの名称が「KJ1」「KJ2」「KJ3」へ変更されます。(理由は不明。関係ないと思われますが、国際セリ名簿基準委員会によるパートI国に日本が昇格したことに伴う国際格付重賞競走の「G」格付けとそれ以外の「Jpn」格付けへの分離は2007年1月)

2011年12月23日に荒尾競馬場の開催が終了し九州地区は佐賀競馬場1場となったため、2011年度の終了をもって九州グレードは消滅となりました。

佐賀競馬

九州グレード消滅後の佐賀競馬はオリジナルの重賞格付けがなかったものの、2013年1月より「S1(えすいち)」と「S2(えすに)」の格付けを設定。当時のリリースは公式サイトの保存期間外で消滅しており「S」の由来は不明です(特に説明はなかったようにも。「Saga」の「S」?)。

「S1」重賞は2012年度当初から存在していた重賞へ格付けし、2012年度の途中ながら新たに「S2」の重賞が新設されました。

ただ「S2」重賞の数があまりに多く、また特別競走より低い賞金額の「S2」重賞が存在しており、佐賀競馬のコアファン層などから重賞の格や体系面を疑問視される点があったものの、その面は度外視し、他場を含めたインターネット投票の営業効果が期待されたのではと推測されるような設定でした(「S2」重賞は本馬場入場曲などの演出が特別競走のものとなるなど差がついていました)。

この形が5年あまり続いたのち、2018年度からは重賞と特別の間に準重賞を設定して重賞格付けを解消。「S1」重賞の全てと「S2」重賞の一部が格付けのない「重賞」に移行しています。

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