金沢競馬のクラス分けは、定められた競走の獲得本賞金(1着から5着までに入り獲得した賞金)を一定のルールに基づき換算し、それを合算した「番組賞金」を評価値としてクラスを定めるルールです。
金沢競馬は格付けを付与する対象の番組賞金の範囲が決まっている「絶対クラス制」ではなく、集団に対して格付けを付与する割合を決めた「相対クラス制」を取っているため、番組賞金を計算しただけではどのクラスに格付けされているのかはわかりません。
金沢競馬からの公式発表は毎開催回ごとに出走申込馬がどのクラスのどのレースに編成されているかを「出走馬一覧表」の形で公式ウェブサイトに公表しているため、開催回の開始前に格付を知ることは可能です。
一方、番組賞金は発表されていないため専門紙でしか知ることはできませんが、金沢競馬の専門紙「競馬ホープ」の公式ウェブサイト(→こちら)に出走予定馬として開催回単位で各レースへの編成馬が予想紙の馬柱形式で紹介されています。このうち「けいばキンキ」版紙面には番組賞金が表示されているため、事前に確認することが可能です。
番組賞金の算出
金沢競馬の編成・クラス分けルールについては、ルールブックである年度分の「金沢競馬番組」や「金沢競馬番組編成要綱」が存在するものの公開はされておらず、公式ウェブサイトにはそれらを抜粋して製作されたと思われる「格付けの仕組み」というページがあり、これを掲載する形で公表されています。
番組賞金の計算は次の項目から順に計算していくことで求められます。なお、換算計算の結果千円未満の端数が出た場合は切り捨てとなります。
算出対象期間
金沢競馬の番組賞金は前2年度と当年度の開催回の出走馬編成発表日の前日までの1着から5着までの本賞金が算定対象となります(なお、3月の特別開催は次の年度に移っているとみなして起点を読み替えてください)。
※2022年度は2020(令和2)年4月1日~当該開催回出走馬編成発表の前日
ただし金沢競馬には冬季非開催期間があることから、休催中だけ転出したり、かつては「冬季交流」として金沢に在籍したまま他場で一定期間出走するケースがありました。このため、金沢に居残って休催中に賞金を得られない馬よりも格付け上不利にならないよう、馬の区分に応じて下記の対象期間内は番組賞金にはカウントしないルールが設定されています。
ただし、計算式の適用区分である「実績馬」「主催者認定馬」「冬季他場転厩馬」「冬季他場転入主催者認定馬」の定義は公開されていません。(これがわからないので、既に躓いてる感がありますが…笑)
区分 | 番組賞金算出対象外期間 |
---|---|
実績馬 主催者認定馬 |
前々年度及び前年度の各々通算第20回最終日の翌日から 通算第21回第1日の前日までの期間 |
冬季他場転厩馬 冬季他場転厩主催者認定馬 |
前々年度及び前年度の各々通算第20回最終日の翌日から 通算第21回編成の前日までの期間 |
※2022年度の場合
- 前々年度の通算第20回最終日の翌日から通算第21回第1日の前日まで
=2020年12月26日から2021年3月13日まで - 前年度の通算第20回最終日の翌日から通算第21回第1日の前日まで
=2021年12月28日から2022年3月12日まで - 前々年度の通算第20回最終日の翌日から通算第21回編成の前日まで
=2020年12月26日から2021年3月9日まで - 前年度の通算第20回最終日の翌日から通算第21回編成の前日まで
=2021年12月28日から2022年3月8日まで
競走ごとの減額換算
算定対象期間の競走のうち、指定された競走の格や開催場に該当するものに対して減額措置が設けられており、該当する競走については、本賞金に減額率を乗じた額(千円未満切り上げ)を本賞金から減額したものがその競走の番組賞金となります。
減額対象 | 減額率 |
---|---|
開催地を問わずGI,GII,GIII,JpnI,JpnII,JpnIII競走 | 80% |
JRAの競走 | 80% |
開催地を問わずJRA認定競走 | 60% |
南関東地区の競走 | 70% |
兵庫県競馬の競走 | 60% |
高知競馬の競走 | 60% |
金沢競馬の重賞競走 | 60% |
金沢競馬の2歳準重賞競走(賞金を獲得した年度に限る) | 50% |
金沢競馬の準重賞(2歳戦除く)、 企画競走(騎手交流競走を含む。適用対象は概定番組に掲載) の1着(賞金を獲得した年度に限る) |
50% |
金沢競馬在籍馬が他場交流重賞競走に出走して収得した賞金 | 60% |
年度当初の減額
「実績馬」、「主催者認定馬」は本年度の初申込時に、それまで金沢所属として出走し収得した賞金(上欄の減額換算を行う前の額)のうち、上記冬季非開催期間の獲得賞金を除いた残りの額の60%(千円未満切り上げ)が減額されます。
また、「冬期他場転厩馬」及び「冬期他場転厩主催者認定馬」も、それまで金沢所属として出走し収得した賞金(上欄の減額換算を行う前の額)のうち、上記冬季非開催期間の獲得賞金を除いた残りの額の60%(千円未満切り上げ)が減額されます。
2歳時金沢デビュー馬への減額
「実績馬」、「主催者認定馬」、「冬期他場転厩馬」及び「冬期他場転厩主催者認定馬」かつ2歳時に金沢競馬でデビューした馬で、2歳時の賞金が番組賞金算出対象になっている場合、金沢所属馬として出走し獲得した2歳時の賞金(遠征した他場の交流競走分と金沢の重賞、準重賞、JRA認定競走分を除く)の30%(千円未満切り上げ)が減額されます。
なお、前々年度が2歳の馬については、前々年度においても「実績馬」、「冬季他場転厩馬」の要件を満たしていれば適用となります。
転入馬・再転入馬に対する加算
この項に入るまでに、一旦上記4項目による計算を済ませる必要があります。
実績がある馬をあまりにも下級に格付けするわけにはいかないということか、転入馬、再転入馬のうち、総収得賞金(一切減額を加えない純粋な生涯本賞金獲得額)が下記の範囲に入る場合、番組賞金の加算が行われます。
総収得賞金 | 加算ルール |
---|---|
1億円以上 | ここまでの番組賞金合計が140万円超の場合はそのまま。 140万円以下の場合、70万円を加算。 ただし、加算後の番組賞金は140万円が上限。 |
2,000万円以上 1億円未満 |
ここまでの番組賞金合計が70万円超の場合はそのまま。 70万円以下の場合は35万円を加算。 ただし、加算後の番組賞金は70万円が上限。 |
7歳以上馬に対する減額
7歳以上の馬については、ここまでの番組賞金計算結果に30%を乗じた額(千円未満切り上げ)を番組賞金から減額します。
2歳馬が一般馬競走に編入された場合の減額
2歳馬は番組賞金が600万円を超えた時点で一般馬へ編入となります。
編入後は「一般馬競走」で収得した分を除いた番組賞金の90%を減額(千円未満切り上げ)した額となって格付されます。ただし、馬齢限定競走を走る際の出走馬選定の指標として番組賞金を使う場合、この番組賞金の減額は適用されません。
3歳馬が一般馬競走に編入された場合の減額
3歳馬は番組賞金が200万円を超えた時点で一般馬へ編入となります。
編入後は「一般馬競走」で収得した分を除いた番組賞金の60%を減額(千円未満切り上げ)した額となって格付されます。こちらも2歳馬同様に馬齢限定競走を走る場合の出走馬選定の指標として番組賞金を使う場合、この番組賞金の減額は適用されません。
なお、3歳馬競走がなくなり、3歳馬が全馬一般馬となる通算第13回~通算第20回ではこのルールは適用されません。
※2022年度の場合
通算第13回=2022年9月11日~(金沢市営第3回)
通算第20回=~2022年12月24日(石川県営第15回)
クラス分け
クラス分けは「一般馬競走」、「3歳馬競走」で行われます。「2歳馬競走」はクラスはなく番組賞金順の組だけが作られます。
各クラスに格付ける番組賞金の範囲は定められていないので、「相対クラス制」で行われていることは疑いない所ですが、相対の基準が何なのかは公表されていません。
一般馬競走
4歳以上と秋の通算第13~第20回は3歳馬も全馬編入される、いわゆる古馬戦。クラスはA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分かれています。
3歳馬競走
通算第13~第20回以外で組まれる番組賞金200万円以下の3歳馬による競走。こちらのクラスはA、Bの2段階です。
昇級・降級
番組賞金の算定時期が1年度分変わる前年度3月の特別開催の開始時に降級が生じます。算定期間外になる期間に大きな賞金を獲得していた場合は、番組賞金が前シーズン終了時に比べて大幅に減少し、大きく降級することもあります。
一方、「相対クラス制」のため、番組賞金の加算だけでなく、出走申込の結果次第によって番組賞金による序列が変化するため、前走成績とは無関係に毎開催ごとで一部の馬に昇級や降級が発生しています。ただ、上下する理由としては「新しい回のレースを編成した結果、序列や編成頭数が前回と変わった」としか言いようがなく、状況次第です。
そのため金沢競馬においては、番組賞金は予測できても、次回出走時のクラスや編成レースの予測はかなり難しいと思われます。
参考:「レース情報 格付けの仕組み」
全文→こちら
(金沢競馬公式ウェブサイトより)