2012年6月に成立した改正競馬法のうち、売得金に占める払戻金の割合である払戻率の自由化に関する事項が2014年度より施行され、従来はJRA・地方競馬で一律だった払戻率を勝馬投票法(=賭式)ごとで法律に定めた一定の範囲内で主催者が設定できるようになりました。
地方競馬では払戻率を70%から農林水産大臣が定める率(農林水産省告示(→こちら)により現在は80%)の範囲内で都道府県又は指定市町村(=各主催者)が設定します。これによって各地方競馬が経営面、営業面双方から戦略的に払戻率を変えることが可能となり、地方競馬間でも恒常的に払戻率に微妙な差が生じるようになったほか、キャンペーン的に払戻率を引き上げる取り組みが行われるようにもなりました。
現在の地方競馬各主催者ごとの払戻率を見てみましょう。
帯広ばんえい競馬の払戻率
適用開始:2015年4月18日
(自由化払戻率導入は2014年4月13日、現行払戻率体系への変更は枠複・ワイド追加のため)
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 五重勝単* | 七重勝単* |
72.5% | 72.5% | 70.0% | 70.0% |
(出典:ばんえい十勝公式ウェブサイト「ばんえい競馬 勝馬投票券の払戻率について」→こちら)
ホッカイドウ競馬の払戻率
適用開始:2014年8月19日
(自由化払戻率導入は2014年4月23日、現行払戻率体系への変更は三重勝馬単追加のため)
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 80.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 三重勝馬単* | |
70.0% | 70.0% | 70.0% |
(出典1:ホッカイドウ競馬公式ウェブサイト「勝馬投票券の払戻率変更について」→こちら)
(出典2:南関東4競馬場公式サイト「川崎競馬、門別競馬でSPAT4 LOTOトリプル馬単発売開始!」→こちら)
岩手競馬の払戻率
適用開始:2014年4月5日
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 五重勝単* | |
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典:岩手競馬公式ウェブサイト「勝馬投票券の払戻率について」→こちら)
浦和競馬の払戻率
適用開始:2014年7月14日
(自由化払戻率導入は2014年4月28日、現行払戻率体系への変更は三重勝馬単追加のため)
単勝 | 複勝 | |||
80.0% | 80.0% | |||
枠複 | 枠単 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 三重勝馬単* | ||
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典1:浦和競馬公式ウェブサイト「浦和競馬 勝馬投票券の払戻率変更について」→こちら)
(出典2:一般社団法人関東地方競馬協議会リリース「50円で最高3億円の払戻も!!新勝馬投票法「SPAT4 LOTO トリプル馬単」を発売!」→こちら)
船橋競馬の払戻率
適用開始:2014年6月16日
(自由化払戻率導入は2014年4月7日、現行払戻率体系への変更は三重勝馬単追加のため)
単勝 | 複勝 | |||
80.0% | 80.0% | |||
枠複 | 枠単 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 三重勝馬単* | ||
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典:船橋競馬公式ウェブサイト「勝馬投票法の払戻率について」→こちら)
大井競馬の払戻率
適用開始:2014年6月1日
(自由化払戻率導入は2014年4月1日※、現行払戻率体系への変更は三重勝馬単追加のため)
単勝 | 複勝 | |||
80.0% | 80.0% | |||
枠複 | 枠単 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 三重勝馬単* | ||
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典1:東京シティ競馬公式ウェブサイト「勝馬投票券の払戻率変更について」→こちら)
(出典2:一般社団法人関東地方競馬協議会リリース「50円で最高3億円の払戻も!!新勝馬投票法「SPAT4 LOTO トリプル馬単」を発売!」→こちら)
※導入時は法施行前の3月末から続く年度跨ぎの開催だったため、4月1日~4日の開催のみ経過的措置として旧制度に近い全賭式払戻率75%とした後、4月20日の開催から上記払戻率へ移行しています。
川崎競馬の払戻率
適用開始:2014年8月18日
(自由化払戻率導入は2014年4月14日、現行払戻率体系への変更は三重勝馬単追加のため)
単勝 | 複勝 | |||
80.0% | 80.0% | |||
枠複 | 枠単 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 三重勝馬単* | ||
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典1:川崎競馬公式ウェブサイト「勝馬投票法の払戻率について」→こちら)
(出典2:同上「SPAT4 LOTOトリプル馬単 川崎競馬で8月18日(月)から発売開始!」→こちら)
金沢競馬の払戻率
適用開始:(県営)2014年4月1日、(市営)2014年6月8日※年度初日から
単勝 | 複勝 | |||
80.0% | 80.0% | |||
枠複 | 枠単 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | |||
72.5% | 72.5% |
(県営開催出典:金沢競馬公式ウェブサイト「勝馬投票券の払戻率変更について」→こちら)
(市営開催出典:同上「勝馬投票券の払戻率について」→こちら)
笠松競馬の払戻率
適用開始:2014年4月7日
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 五重勝単* | |
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典:笠松けいば公式ウェブサイト「勝馬投票券払戻率の変更について」→こちら)
名古屋競馬の払戻率
適用開始:2014年4月1日
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | ||
72.5% | 72.5% |
兵庫県競馬の払戻率
適用開始:2015年4月1日
(自由化払戻率導入は2014年4月1日、上記日から変更)
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 77.5% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 五重勝単* | |
72.5% | 72.5% | 70.0% |
(出典:そのだけいば・ひめじけいば公式ウェブサイト「兵庫県競馬組合における平成27年度以降の勝馬投票法ごとの払戻率について」→こちら)
高知競馬の払戻率
適用開始:2014年6月7日
(自由化払戻率導入は2014年4月5日、上記日から最終競走の三連単のみ払戻率を変更)
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | ||
最終以外 | 最終競走 | ||
72.5% | 72.5% | 77.0% |
(出典2:同上「勝馬投票法の払戻率変更について」(最終競走三連単変更)→こちら)
佐賀競馬の払戻率
適用開始:2014年4月5日
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠複 | 馬複 | ワイド | 馬単 |
75.0% | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | 五重勝単* | 七重勝単* |
75.0% | 72.5% | 70.0% | 70.0% |
(出典:さがけいば公式ウェブサイト「的中馬券に対する払戻率の設定について」→こちら)
(参考)JRAの払戻率
適用開始:2014年6月7日
単勝 | 複勝 | ||
80.0% | 80.0% | ||
枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 |
77.5% | 77.5% | 77.5% | 75.0% |
三連複 | 三連単 | WIN5(五重勝単) | |
75.0% | 72.5% | 70% |
払戻率アップ企画
払戻率が自由化されたことで、企画として一時的に払戻率を動かすことも可能となりました。
この仕組みを利用して、JRAでは2017年12月28日を初回として、年に1~3度「JRAスーパープレミアム」として「WIN5」を含む全賭式で当日の全競走の払戻率を上限の80%へ引き上げる取り組みが行われています。(同様に払戻金を通常より上積みする制度として「JRAプラス10」や「JRAプレミアム」がありますが、こちらは払戻率は変えずに別枠で加算する仕組みのためルールが異なります)
JRAスーパープレミアム→こちら
JRA公式ウェブサイトより
同様の企画は地方競馬でも行われており、季節の恒例となっているものもあります。これまで行われた払戻率変動企画もご紹介します。
大井競馬「TCKスーパープレミアム」
大井競馬の当日の全賭式の払戻率をトリプル馬単も含めて上限の80%に引き上げるもの。これまで開催されたのは下記の通り。
開催されたのは多くが「ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド大井」との連動企画としてのもの(注)。翌日に同シリーズの競走を開催するJRAでも前述の「JRAスーパープレミアム」を実施しており、ほぼ同じタイトルに加え、2017年はタイトルロゴもほぼ同じものを使用していたことから、連携企画のような感もあります。
2022年12月27日(火)の開催は大井競馬単独での開催となる初めてのケースとなります。
(注)2020年5月2日(土)にも予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症対策の無観客開催による大井競馬場開場70周年関連イベントの延期・中止に伴い取り止め。
名古屋競馬「名古屋モーニングフィーバー」
2018年から夏場の名古屋競馬の正午より前に発走する競走(序盤の2~3競走)の三連単について、払戻率を72.5%から77.7%に引き上げる取り組み。初年は8月に開催された後、2年目の2019年からは開催期間を7~9月に拡大して継続されています。
対象競走では競走名を「名古屋モーニングフィーバー(数字)」に統一、グッズの製作などのPR活動も行われていますが、「77.7%」で「フィーバー」とパチンコのイメージが根強い名古屋ならではネーミングにインパクトがあり、夏場の名物企画として定着しています。
2022年の新競馬場移転によりナイター開催が可能となったことで、開催日でも午前中にレースが開催されず対象レースがない場合もありますが、夏場はナイター開催がほとんど組まれないこともあって、実施数は若干の減少にとどまっています。
開催期間 | リリース |
---|---|
2018年8月 6日~2018年8月31日(12日間) | こちら |
2019年7月10日~2019年9月20日(24日間) | こちら |
2020年7月7日~2020年9月30日(26日間) | こちら |
2021年6月29日~2021年10月1日(32日間) | こちら |
2022年7月4日~2022年9月30日(25日間*) | こちら |
2023年7月12日~2023年9月25日(21日間*) | こちら |
*=ナイター開催で対象競走がない開催日はカウントせず
金沢競馬「金沢競馬プレミアム・ワン」
金沢競馬が2022年8月の開催で実施したのが、第1競走に限り三連単の払戻率を72.5%から上限の80%に引き上げる「金沢競馬プレミアム・ワン」。日曜はJRA開催、火曜も同様に払戻率を上げた「名古屋モーニングフィーバー」が裏に来ることもある時間帯の競走であり、払戻率の面で目立たせる取り組みともいえます。
その後、第1競走の三連単払戻率80%への引き上げはタイトルや対象を変えつつ期間限定で複数回続けられています。
開催期間 | タイトル | リリース |
---|---|---|
2022年 8月 2日~2022年 8月30日(9日間) | 金沢競馬プレミアム・ワン | こちら |
2022年12月 5日~2022年12月24日(9日間) | 冬のプレミアム・ワン | こちら |
2023年 3月12日~2023年 5月28日の日曜開催(9日間) | サンデープレミアム・ワン | こちら |
金沢競馬「金沢競馬ランチタイムプレミアム」
続けても金沢競馬。「金沢競馬プレミアム・ワン」の後、第2弾として「金沢競馬ランチタイムプレミアム」と称し、2022月10月の12時台に発走する競走の三連単払戻率を80%に引き上げています。
縛りが12時台のため、日によって1競走になるか2競走になるかは当日のスケジュール次第でした。
開催期間 | リリース |
---|---|
2022年10月 2日~2022年10月30日(9日間) | こちら |